kigi's Book Diary

本の感想ブログ

「配達赤ずきん」 大崎梢

先日読んだ「片耳うさぎ」の大崎梢さんのデビュー作。
駅ビルの書店を舞台に、そこで起こる不思議な出来事を
書店員たちが解いていく日常の謎シリーズ。



謎解きはちょっと無理やりかなと思ってしまったので、
それより書店の内部事情が面白かったですね。
昔、母が雑誌類を書店から定期購読してたけど、今でも配達ってあるんですね。
大型書店だけがやってるのかな。

タイトルも昭和テイストだけど、内容もそんな感じでした。
かなり勘が鈍い杏子さんと、謎が解けてても独りで納得してもったいぶる多絵ちゃんが
ちょうどホームズとワトソンみたいで、その他の登場人物も含めて昭和の雰囲気です。

まあ、勘が鈍いのはワトソン役の宿命みたいなものだし、
だから現代ミステリーでは登場しなくなったんだと思うけど、
やっぱりあまりに鈍いとそこで話が止まるし、ちょっと不満に感じてしまいますね。

面白かったのは表題作の「配達あかずきん」、正統派の謎解きですね。

「六冊目のメッセージ」も素敵な話だったけど、人に本を薦めるのは難しいですよね・・・

「ディスプレイ・リプレイ」いかにも現代的な話だけど、
逆に真相も漏れそうな気がしますが。

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「片耳うさぎ」  大崎 梢

主人公が小学生で表紙もほのぼのしてるので、
ジュブナイルかと思って気軽に読み始めたんですが、内容はちゃんとした謎解きでした。
殺人事件は起こりませんが。



小学6年生の蔵波奈都は父親の会社が倒産したことで東京近郊のマンションを出て
父親の実家に身を寄せることになる。
しかし父の実家は田舎の旧家で古くて暗い大きな家。
心細い思いを味わいながら暮らしていた奈都だが、
古い屋敷に興味を持つ中学生のさゆりが泊まりに来たことから、
屋敷内の探検に出かけることになった。
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すらっと読んでしまったので、あまり書くことが思いつかないのですが、
軽く読める1冊でした。

古いお屋敷、隠し部屋、夜中に徘徊する怪しい影。
舞台装置はおどろおどろしいけど、主人公が子供なので夏休みの冒険譚みたいなテイスト。

最初の方で、「あの大きな家で独りで留守番」と書いてあったから、
本当にたった一人で留守番するのかと思ったら、
同居する家族がぞろぞろ出て来たところは、ちょっとびっくり(笑)

ちょっとしたノスタルジーにも浸りました。
昔の家って、なぜか複雑な作りになってましたよね。
1階に4部屋作るとして、今なら正方形に並べるだろうけど、
昔はジグザグに並べてあったりする。
それを廊下でつないであって、廊下の隅には納戸があったり、
使ってない小部屋があったりする。
子供には探検するところが多くて、面白かったです。

ネタバレにいくつか疑問を書きましたけど、どれも些細なことです。
本格謎解きの不整合場面とは違うので。
そのつもりで見てください。

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続きはネタバレ
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「ゴールデンスランバー」 伊坂幸太郎

基本は脱出もの。味付けは青春ノスタルジー。




この分野は古今の名作が数多くある上に、
日本では生死をかけた脱出を必然とする設定がなかなか成り立たないという
難しさがあるので、作品は少ないですが、これは果敢な挑戦。

権力によって首相暗殺犯に仕立て上げられた青年が、
封鎖された仙台から脱出するストーリー。

舞台を近未来に持ってきて、地域を仙台という狭い範囲に設定、
何とか脱出の必然性を出そうと頑張ってるけど、
やっぱり甘いという印象になってしまうのは仕方ないですね。

最後は禁じ手のような気もするけど・・・


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「いつもの朝に」 今邑彩

「いつもの朝」じゃなくて、「に」が付くところが不穏なものを感じさせるタイトル。



そんな予想通り、冒頭は不気味な絵を並べた個展のシーンで始まる。
個展会場に並べられている絵は、顔の描かれていない家族の肖像画や、
真っ白なテーブルクロスにこぼれた真っ赤なケチャップなど、
胸騒ぎを感じさせる絵ばかり。

この絵で、ある程度事件の想像をしてしまうと思うのですが、
そんな想像に反して、それらの絵を描いたのは二人の男の子を持つふつうの母親。
ちょっと肩透かしかと思うと、母親の家族が謎めいた事故で亡くなっていたりして、
やっぱりこの一家には過去がありそうな気配。

そしてある日、次男が子供が頃から大切にしていたぬいぐるみのお腹から、
父の手紙を見つけたことから、事件の話は一気に現実に。

でもここまでで、まだ本の厚さの三分の一も進んでいない。
父の手紙で真相と思われる事件をすべて描いてしまって、
この先、何が続くのだろうと心配していると、
話はさらにとんでもない方向へ進んでいく・・・
このあたりはかなり怖い。

ここまでで三分の二。

最後の三分の一は・・・
まあ、途中までは予想がついたけど、最後は意外。
いえ、この作家さんなら当然の結末かもしれませんね。

私としては、怖いまま最後まで突き進んで欲しかったです。

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「氷の華」 天野節子

ネットで評判がよかったので図書館で借りてみました。
感想は、なんと言うか…、特に書くことがない(^^;)



たしかに面白いことは面白い。
でもなにか惹き付けられるものがなかったんですよ。
選評風に言えば、「インパクトに欠ける」かな。
2時間ドラマの原作のようだ、という印象から抜け切れませんでした。

そんな風に感じた理由としては、
いろんなことが都合よく起こりすぎること。
きれいにまとまりすぎてるということ。

そしてもう1つ、もしかしたら期待が大きすぎたのかもしれない。
この本のキャッチコピー
「誰かを殺してまで、守りたいものは何か…。
たった1本の電話が、何不自由なく暮らしていた主婦を殺人者へと変えた。」

これではつい「邪魔」のような話を期待してしまうではないか~
でもあそこまでの緊迫感はありません。
むしろ地道に捜査する刑事ものに近い感じです。

でも人気作家、有名作家の作品でも、このレベル以下のものはたくさんあるから
合格ラインは越えていると思います。
自費出版で、このレベルの小説に出会ったら感動するでしょう。
さらに著者は還暦にして、これがデビュー作だそうです。

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「密室殺人ゲーム王手飛車取り」歌野晶午

わ~~~
月一の更新もあやうい状況ですΣ( ̄□ ̄;)

ということで、またまたお久しぶりです。
一部で話題のパズルミステリを読んでみました。




ビデオチャットで殺人推理パズルを楽しむ5人。
ただし他の推理ゲームと違うのは、1つ1つの事件が実際に出題者によって
実行されたものであることだった。


実行された殺人でも机上のトリックでも、小説にしてしまえば同じこと。
無理やり殺人を実行させるには、なにか仕掛けがあるのかと思ったけど、
特になかったような…
あえて言えばQ7のためかな。

ただ、ネットの世界というのは「小説より奇なり」のさらに上を行くことが
実際にあったりするので、このくらいで驚く人はあまりいないんじゃないでしょうか。
私はもっとすごいことこと考えてたし(^^;)
ネットをネタにして読者を驚かすのは難しいですよね。

出題者が犯人だから、犯人当ては出来ないけど、
その代わり動機は考えなくてもいい。
そこは書くほうには楽かも。

トリックも前例があるものばかりなので、あまり考えずに読めます。
電車の中などで読むにはちょうどいいかもしれません。
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「乱鴉の島」 有栖川有栖



孤島ものではあるけれど、ミステリファンが期待する孤島ものとは一味違う作品。
主になるのは犯人探しではなくて、島に集まった人たちの共通点を探すこと。

有栖川有栖と火村英生助教授は、休みを利用して離島の民宿で骨ね休めをするために旅立ったが、ある手違いと勘違いから、二人がたどり着いたのは、謎めいた人々が集う無人島だった。

島を間違えたからといって、すぐ立ち去ってしまっては小説にならないので
迎えの船が手配できないとか、いろんな事情でその島に滞在することになる。
当然のごとく殺人事件が起こり、電話線が断ち切られる。

このあたりは孤島ものの様式通りなのですが、
なにしろ殺人が起こるまでに小説の半分が費やされるので、
ミステリー好きとしては、ちょっとまどろっこしい。

事件が起こるまでの前半は、島に集まった人々の説明が描かれている。
でも登場人物の設定が似ているので誰が誰か、なかなか区別が付かない。
実はこのことにも意味があるのだけれど。

事件が起こってからは、お互いの行動を検証したり、
被害者の部屋を探ったり、正統派の孤島ものになります。
ここからは、島の情景など、有名作品を思い出したりして楽しめました。

隠された謎については、ある程度想像出来るかもしれないですね。
ヒントがいろいろ書かれていますから。
そういう意味ではフェアです。

続きはネタバレなので注意



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「空飛ぶタイヤ」 池井戸潤

実際に起こった大型トレーラーの脱輪死傷事故、その事故を元にして描かれたフィクション。



02年1月、横浜市瀬谷区で起こった母子の脱輪死傷事故は、その後トレーラー製造メーカーのリコール隠し事件に発展して大きなニュースになったので、まだ記憶に新しいと思う。

これは事故を起こしたことで倒産の危機にさらされながら、
自らの潔白を証明しようとする運送会社の社長をメインに、
財閥系自動車メーカーの傲岸な体質を暴き出してた作品。

事故原因が整備不良とされたことから事故車両を所有してた赤松運送は
得意先を失い、取引銀行に融資を断られ危機的状況に陥る。
小さいながら堅実な経営をしていた社長や社員は、整備不良という原因に納得できず、
製造メーカーに再調査を依頼する。
しかし自動車会社の対応はまさに門前払いで、
調査結果の提示にも、さらには部品の返却にも応じない。

素人の私としては事故車両の調査を、その車の製造メーカーがやるということに
まず驚きました。なんだか、いくらでも誤魔化せる気がする。

そして財閥系といわれる大企業グループの体質にも驚愕。
会社に属する人間の根拠のないエリート意識、隠蔽と自己保身に終始する会社。
薄々は感じていたけど、ここまで腐っているんでしょうか。
もちろんフィクションではあるけれど、実際の事件の裁判での応答なんか考えると、
これに近いことはあるんだろうなと思ってしまいます。
まして作者が、作中に登場する財閥系銀行を連想させる銀行の出身ということを考えると余計に。

公的な事実の進展はほぼこの通りだったのではないかと思うので、勧善懲悪的結末も予想できるわけですが、そこに至るまでの運送会社社長の苦悩、思いがけないところから差し伸べられる援助など、二転三転するストーリーは文句なく面白い。

企業が利益を追求するのは権利なんだから、それを正当に追行しなくてはならないはず。不良品を販売するということは権利放棄だと、なぜ気が付かないんでしょう。

この事件のあとも製品不良事故は後を絶たないけど、
このままだと日本が倒産危機になるでしょうね。

強いてこの作品の難点を挙げれば、本のタイトルと「罪罰系迷門企業」なんていう章題。
これでちょっと退きました・・・

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