kigi's Book Diary

本の感想ブログ

「夜想」 貫井徳郎

14日に書いた「光と影の誘惑」の巻末解説で、貫井さんはミステリーと社会派、
この2つの読者の間で宙ぶらりんの状態をさまよっていると書かれていたけど、
これはその社会派ファンへ向けた作品。
宗教と救いを扱っています。
検索でヒットした数や好意的感想を読むと、こちらのファンの方が断然多いのだと実感。
それにしては、内容はちょっともの足りないですが。




妻と子を事故で一度に失った男・雪藤と、
その悲しみに共感して男を救いたいと願う、若き美女・天美遙。
このふたりの葛藤と救いの物語。

こう書くとメロドラマのようですが、ただのメロドラマじゃありません。
天美遙が救いたいと願っているのは雪藤だけではなく、
生きていく上での様々な問題に苦しんでいる多くの人々。

そう、遙が解決するのは心理的なものではなく現世利益が中心。
恋愛の悩み、商売の悩み、家族の悩み。
だからこそ短期間に多くの人が群がってくる。

人が増えれば、それが組織になり団体になる。
しかし元々個々の悩みを解決してもらうことを目的として集まった集団なので、
組織に求めるものが違う。あるいは何を求めるべきなのかわかっていない。
その思惑の違いが 小さな分裂になり、やがて崩れていく・・・

「流されもの」ジャンルかと思ったら、ラストは予想外でした。
なにか組織論のようですね。

雪藤にしても遙にしても、どうしてその方向に行ってしまうのかな?
流されるままなのが、もどかしかった。

そういう意味では、雪藤より天美遙に共感しました。
遙に心酔している人たちのはずなのに、
遙の真意が伝わらないのが恐ろしい。
いっそ宗教にしてしまえば、もっと簡単なのかもしれないけどね。

人間の集団をコントロールする難しさを感じます。

娘を探している子安嘉子の存在は、ミステリーファンへのアリバイなのか、
社会派ファンへの抵抗なのか。
私は子安嘉子のストーリーをメインに書いてほしかったけど、
そういう読者は少数派のようです・・・

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テーマ : 読んだ本。    ジャンル : 本・雑誌
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