kigi's Book Diary

本の感想ブログ

「楽園」 宮部みゆき

久々に正統派の宮部作品を読みました。
ある家族に秘められた謎を解いていくという点では「火車」に近い作品。
もうひとつ、別の意味でも「火車」と共通するところがあります。



導入部では超能力やサイコメトラーなんて話が出てくるので、
また不思議話になってしまうのかと不安を感じましたけど、
それはきっかけのひとつで、基本的には現実社会の話。

主人公は「模倣犯」に登場した前畑滋子。
では「模倣犯」を読んでいないとわからない話なのかと心配される方も
いらっしゃるかもしれませんが、いわゆる続編ではないので大丈夫。
もちろん読んでいれば、より納得できますけどね。

前畑滋子は、実は私も覚えていませんでした(^^;)
でも小説の中にちゃんと説明が出てくるので、
「あ~、あの人か」と思い出すことが出来ます。

あらすじ
ある夫婦が高校生の娘を殺して自宅の床下に埋めた。
16年後、その自宅が火事になり、発覚を覚悟した夫婦は警察に自白する。
殺人はすでに時効になっていたので事件にはならず
事実関係の確認だけが行われたが、
発覚前にその事件を透視し、絵に残した少年がいた。
少年はなぜ事件を知ることが出来たのか?
前畑滋子は少年の母親の依頼で調査に乗り出す。


事件の謎解きというよりも、事実が次々に明らかになっていく過程が面白い。
思いがけない日常からヒントを得られたり
意外なところに探していた情報が隠れていたり、
まったく別の事実と事実がつながる面白さ。
これがこの小説の醍醐味で、まさに私の好みの小説でした。

調べものは好きなんですよ。
昔、バイトでレファレンスサービスのお手伝いをやったことがあったのですが、
調べながら自分でワクワクしてしまったことがよくありました。
まったく違う分野の本や雑誌から探してた情報を見つけた時なんかは、
すごい達成感がある。
あれは探偵に近いものがありますね。

ただ手放しで傑作といえないのは、ひとつの謎が謎のまま残っていること。
それが気になって仕方ない。
どなたかわかったら教えてください。
詳しくは↓の「続きを読む」のネタバレで。


 
ネタバレしてます。反転させて読んでね。




美しく生まれながら家庭の貧困によって社会の底辺から羽ばたけない少女。
そんな少女を幻影で弄ぶバブル。
そのバブルの崩壊。
幻影にしがみついていた美女の転落と悲惨。
「火車」に通じるテーマですね。
「美女と貧困は似合わない」って、「火車」に出てくるフレーズでしたよね・・・??

真面目な夫妻が娘を殺す決意をするまでには、
よほど切羽詰った現実があったのだろうというのは、ある程度推理できる。
茜はなにかとんでもないことをやってしまった。
もしかして殺人か?というところまでは考えました。
あるいは茜は実の娘ではなく、わが子の誠子を守るための殺人かもしれないとか。
そういう点では意外性は少ないです。

茜が美少女だったというのも意外でした。
妹に比べて平凡な外見なんだと思い込んでた。
だからより僻んでしまったのかと。
若くて美しければ、成り上がるチャンスもあったのにね。
もう少し早く生まれていれば。

ひとつわからない謎が残っています。
どこかに書いてありますか?
私が読み飛ばしてしまったのかな?

等の絵、死の山荘の絵に描かれていたドンペリの瓶は
結局どこから透視したものなのか?
誰の頭の中を読み取ったものなのか?
書いてないですよね?



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テーマ : 読んだ本。    ジャンル : 本・雑誌
  1. 国内作家・ま行
  2. / トラックバック:0
  3. / コメント:4

管理人のみ閲覧できます

  1. 2007/09/04(火) 22:52:11 |
  2. |
  3. [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

  1. 2007/09/05(水) 00:58:28 |
  2. URL |
  3. kigi
  4. [ 編集 ]
コメントありがとうございました。
ネタバレなので隠しますね。



やはり謎まま残っていたんですね。
てっきり花田先生が見たという記録映画に何かが隠されていて、
そこから山荘の絵の謎解きに発展すると思い込んでいたので、
不倫話に逸れてしまって、そのまま山荘の謎が放置されたのが残念でした。
次回作があるなら、それでいいのですが。

風見蝙蝠については、記憶にはなくても脳には映像として記録されていたということではないかと、

今、考えました(^^;)

  1. 2007/09/06(木) 22:10:46 |
  2. URL |
  3. ちぃ坊
  4. [ 編集 ]
こんにちは。kigiさん。
「楽園」読まれたんですね。

『なぜ等くんは山荘とドンペリの絵を描くことができたのか?』という謎ですが、これはワタクシ個人の推理ですが、『シゲ』と接したことによって、土井崎茜の一件と一緒に山荘もついてきたのかな?と思いました。「シゲ」はあーゆうキャラだからあの事件が発覚したとき野次馬で山荘にも行っただろうしね。っと

  1. 2007/09/06(木) 22:19:09 |
  2. URL |
  3. kigi
  4. [ 編集 ]
ちぃ坊さん

ネタバレなのでコメント隠しました。
ご了解くださいね。
ということで、私もここから隠します。

やっぱりはっきりとした解決はないんですね。
上でTake-1さんも書いてくださってけど、
「ドンペリの瓶みたいな細かい情報の広がり方を、
今から調べて洗い出すのはまず不可能ですよ」
ということで納得するしかないみたいですね。
でも小説なんだから、「あれはあの時の○○と会ったから」とか
書いてくれてもいいのに・・・(笑)
すべて解決してほしいという、ミステリーファンの勝手なのかな?



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