「とめどなく囁く」 桐野夏生
あの桐野作品ですから、クセがあって、かなりのイライラ本です。
でも1つ1つの出来事に緊張感があって「何かか起こりそう、次こそ何か起こる」で最後まで引っ張られてしまいます。
この辺は新聞連載ゆえの構成ですね。
ヒロイン・早樹の夫の庸介は海釣りに出掛けたまま行方不明になり、遺体が見つからないまま7年が過ぎて認定死亡。
41歳になった早樹が再婚した相手は32歳年上の会社会長の塩崎。
当然、その結婚は塩崎の家族には歓迎されない。
さらに塩崎の前妻は普通の死に方ではなかったという噂も聞こえてくる。
そこに追い打ちをかける前夫・庸介の生存説。
庸介の実母や、早樹の実父までが庸介を見たと言い出す。
はたして庸介は生きているのか?
いろんなことにおびえている早樹にイライラするけど、前妻が使っていた部屋、前妻が使っていたキッチン、前妻が揃えた食器を使う生活はストレスたまると思う。
でも1つ1つの出来事に緊張感があって「何かか起こりそう、次こそ何か起こる」で最後まで引っ張られてしまいます。
この辺は新聞連載ゆえの構成ですね。
ヒロイン・早樹の夫の庸介は海釣りに出掛けたまま行方不明になり、遺体が見つからないまま7年が過ぎて認定死亡。
41歳になった早樹が再婚した相手は32歳年上の会社会長の塩崎。
当然、その結婚は塩崎の家族には歓迎されない。
さらに塩崎の前妻は普通の死に方ではなかったという噂も聞こえてくる。
そこに追い打ちをかける前夫・庸介の生存説。
庸介の実母や、早樹の実父までが庸介を見たと言い出す。
はたして庸介は生きているのか?
いろんなことにおびえている早樹にイライラするけど、前妻が使っていた部屋、前妻が使っていたキッチン、前妻が揃えた食器を使う生活はストレスたまると思う。
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テーマ : 推理小説・ミステリー ジャンル : 本・雑誌
「夏の災厄」 篠田節子
1995年の作品。
東京のベッドタウン埼玉県昭川市で謎の集団感染が起こり、
新型日本脳炎と診断される。
しかしその日本脳炎ウイルスは自然発生とは思われない変異を遂げていた。
やがてインドネシアの島で同じ症状の集団感染が起こっていたことが判明する。
未知のウイルスの集団感染の話ですが、パニックものではないですね。
感染者や社会について書いているのではなくて
それに対する行政側の対応がメイン。
これは篠田さんご自身が市役所でそういう部署に勤務されていたということで、
ある意味、"市役所小説"とも言えるかも。
なにしろ謎を解く主人公が市の保健センターの看護師・堂元房代46歳だから、
そういうところも異色。
それにしても行政の対応遅れが25年前にこれほど正確に予想されていたのに
なんの対策もしてこなかったんですね。
対策がなかったわけじゃなくて、実行できないってことかもしれないけど。
「脳炎発生から2ヶ月が過ぎてみれば、サラリーマンは普通通りに通勤し、農業従事者は畑に出て、主婦は必要最小限の買い物をするようになった。人間の緊張感や注意力などというものはいつまでも続かないし、それ以上に生活上の必要がある。自分だけは大丈夫、そんなにひどいことにならないだろう、と楽観視して普段の生活に戻ろうとする。しかしその裏側で、どうせ人間いつかは死ぬのだ、という無力感が、毒を含んだ淡い煙のようにゆっくりと町に広がり、人の心に浸透し、内面からむしばんでいく。」
東京のベッドタウン埼玉県昭川市で謎の集団感染が起こり、
新型日本脳炎と診断される。
しかしその日本脳炎ウイルスは自然発生とは思われない変異を遂げていた。
やがてインドネシアの島で同じ症状の集団感染が起こっていたことが判明する。
未知のウイルスの集団感染の話ですが、パニックものではないですね。
感染者や社会について書いているのではなくて
それに対する行政側の対応がメイン。
これは篠田さんご自身が市役所でそういう部署に勤務されていたということで、
ある意味、"市役所小説"とも言えるかも。
なにしろ謎を解く主人公が市の保健センターの看護師・堂元房代46歳だから、
そういうところも異色。
それにしても行政の対応遅れが25年前にこれほど正確に予想されていたのに
なんの対策もしてこなかったんですね。
対策がなかったわけじゃなくて、実行できないってことかもしれないけど。
「脳炎発生から2ヶ月が過ぎてみれば、サラリーマンは普通通りに通勤し、農業従事者は畑に出て、主婦は必要最小限の買い物をするようになった。人間の緊張感や注意力などというものはいつまでも続かないし、それ以上に生活上の必要がある。自分だけは大丈夫、そんなにひどいことにならないだろう、と楽観視して普段の生活に戻ろうとする。しかしその裏側で、どうせ人間いつかは死ぬのだ、という無力感が、毒を含んだ淡い煙のようにゆっくりと町に広がり、人の心に浸透し、内面からむしばんでいく。」
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