kigi's Book Diary

本の感想ブログ

「クライム・マシン」ジャック・リッチー

面白かった!
また新しいお気に入り作家発見。
発見といっても、2005年の「このミス」で1位になった本だから、
かなり出遅れてますけどね(^^;)

クライム・マシン (河出文庫)クライム・マシン (河出文庫)
(2009/09/04)
ジャック・リッチー

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これも短編集です。

基本的に短編は苦手なんですが、その苦手な原因が、この作品にはない。
なにしろ、まどろっこしい説明や前置きがなくて、
いきなり本題、いきなり事件、いきなり謎なんですよ。

無駄な描写をいっさい省いた簡潔な文章は、
なんとなく星新一さんのショートショートを思いだしました。

ただ、こういうストレートで短い作品はアイデアが面白くなければ
ダイジェストを読んでるようなものになってしまうわけですが、
その点も問題はありません。
どの作品も見事なフェイントが仕掛けられています。

表題作の「クライム・マシン」は、殺し屋の元にタイムマシンを発明したという男が現れて、
殺人現場を見たと脅迫する話。

このようにトリックものというより、シニカルな捻りのある小話がメインです。

一番好きなのは「エミリーがいない」
3回くらい裏かかれましたね。

次は「歳はいくつだ」
この長さでどう終わらせるのだろうと、
4パターンくらいの結末を予想したけど、どれも違っていた。
ストレートなだけに、このアイデアはすごい。

ルーレット必勝法
賭博場での恐喝だから、あの結末にもなるんだろうけど、
けっこう実社会の騙ましのテクニックで使われてる手段ですね。
いわゆるサクラなんかも、この手法の一種だろうし。

「旅は道づれ」「罪のない町」は、おばちゃんコントみたいで面白い。
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テーマ : 推理小説・ミステリー    ジャンル : 本・雑誌
  1. 海外ミステリー
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映画「終着駅 トルストイ最後の旅」

本に関係のある映画だから、こちらに書きますね。

トルストイの晩年、死に至る旅に出るまでのストーリー。

実は、トルストイは読んだことありません。
何作か読みはじめたことはあるのだけど、途中で挫折しました。
その理由がこの映画でちょっとわかった気がした。

#ドストエフスキーは読みました。
#ミステリー的な展開になってるから読みやすいんですよね。

作品を読んだことないくらいなので、当然、その生涯についてもまったく知らないわけで、
なんとなくワイドショー的興味で見てしまいました。
でも伝記ではなくて、タイトル通り最晩年の話。

若い時に悲惨な戦場を経験したり放蕩の限りを尽くしたトルストイは、
人生や社会に絶望し、やがて世の矛盾を悟る。
そして共同体のような共有社会システムを作る。
(偉大な思想家をこんなに簡単にまとめていいのか?
というか、合ってるのか?)

とにかく貧しい人々に心を寄せたトルストイは
伯爵として召使いにかしずかれる自身の生活を恥じ、
全財産を放棄しようとする。

それを知って衝撃を受けたのがソフィア夫人。
ずっと伯爵夫人として暮らしていたのに、
いきなり無一文になると聞かされたら、それは驚くよね。

当然、自らと息子の生活を守るために全力でトルストイを阻止しようとする。

このソフィア夫人は世界三大悪妻の一人ということになっているらしいけど、
夫がいきなり無一文になるなんて言い出したら、誰でも止めるでしょう。

夫は若い頃からやりたい放題で悟ったのかもしれないけど、
夫人はふつうに貴族として暮らしてただけだから、
(まあ貴族じゃなくても)、私の生活はどうなるの?と思うよね。
しかも夫人は66才ですよ。

「身近な女一人守れなくて国は守れない」と言ったキャラもいたくらいで・・・

たしかにヒステリー起こしたソフィアが銃を撃ちまくるところなんて、かなり怖かったけどね。

偉大な思想家も、家庭では凡人の夫という悲しい現実ですね。
あるいは悲哀のあるコメディか・・・

そして83歳にして家出したトルストイは、
旅先の小さな駅で倒れ、夫人の名前を呼びながら亡くなる。

それでもチェルトコフのような人物が関わらなければ
ここまで哀しいことにはならなかったかもしれない。
家庭の中に他人が入ってくると碌なことにならないです。

まあ、妻と親友による夫の取り合いも、けっこう深刻で複雑な問題ですが。

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テーマ : 洋画    ジャンル : 映画
  1. 映画
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「九マイルは遠すぎる」ハリイ・ケメルマン

学生時代にいろいろな議論をした懐かしい本。
ミステリー系のサークルでは、必ず取り上げられる作品の1つですよね。

九マイルは遠すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-2)九マイルは遠すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-2)
(1976/07)
ハリイ・ケメルマン

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探偵役は、まだ40代後半なのに白髪頭で皺顔の妙な存在感がある英文学教授
ニッキイ・ウェルト。
聞き手のワトソン役は、その友人で元法学部教授の郡検事。
この2人が大学とその周辺で起こった謎めいた事件を解いていく。
アームチェア・デテクティブの連作短編集。

特に表題作の「九マイルは遠すぎる」は論理パズルミステリの傑作。

推理の元となるのは11の単語からなる文章。

「九マイルもの道を歩くのは容易じゃない、ましてや雨の中となるとなおさらだ」
「A nine mile walk is no joke, especially in the rain.」

この1つの文章から推論を重ねて殺人事件に至るというのだから、期待しますよね。

まずニッキイ教授が指摘する推論は、
・話し手はうんざりしている
・雨が降ることを予想していなかった、など。
このあとも次々に仮説が立てられ、それが現実と結びついていく。

短い作品ですが、謎解きの醍醐味が味わえます。

他に7作品を収録。
どれもちょっとした矛盾から真相を突き止める、ひたすら論理的なミステリー。
読み終わってしまうのがもったいないような短編集です。
テーマ : 推理小説・ミステリー    ジャンル : 本・雑誌
  1. 古典名作ミステリー
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