kigi's Book Diary

本の感想ブログ

「悪いことはしていない」 永井するみ

特別に悪いことはしていないのにトラブルに巻き込まれ、さらには身の危険にまでさらされてしまう。
そんな日常の延長にあるような事件。



これを読むと、つい貫井徳郎の「乱反射」と比べてしまいました。
乱反射はふつうの人が犯した小さなルール違反が大きな不幸を引き起こすという事件。
登場する人々がやったことは重大な犯罪ではないけれど、
あきらかに他人の権利を侵害していることだから、
その報いを受けることも大人なら考えて行動しなければならないこと。

それに対して、こちらは本当に誰でもやってしまう日常のささいな作為。
お世辞、社交辞令、勘違い、自慢話、どれも社会ではふつうにありえること。
でもその言葉を受け取る側の人間が未熟なら、そこから悲劇が生まれてしまう。

こう書くと、なにか深刻な小説に思われるかもしれませんが、
全体にはそんなに重い話ではありません。
主人公は若いOLで、連続ドラマのような軽いノリです。


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テーマ : 読んだ本。    ジャンル : 本・雑誌
  1. 国内作家・な行
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「動く指」 アガサ・クリスティ

事件らしい事件は起こらず、ひたすら村の暮らしが語られるので、
高校時代に読んだ時は途中で投げ出した本。

でも今になって読むと、村人の心理描写が人間の本質を突いている上に、
またそれがミスディレクションとして作用しているところが見事で、引き込まれて読んでしまいました。

一応ミス・マープルものとなっていますが、ミス・マープルはほとんど登場しません。
完全に脇役です。

動く指 (クリスティー文庫)動く指 (クリスティー文庫)
(2004/04/16)
アガサ・クリスティー

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舞台はロンドン近郊の小さな村。
そこへロンドンから移住してきた若い兄妹が事件を推理する主役。
兄の怪我のリハビリのためにしばらく田舎暮らしをすることになり、
世話をするために妹も付いてきたわけですが、
慣れない村の暮らしを始めた二人のもとに届いたのが中傷の手紙。

その内容は、実は二人は兄妹ではないということ。
現代の感覚では、それがどうした?と思ってしまうけど、
当時は血縁関係のない若い男女が同居してることはスキャンダルなんですね。

ふたりは新参者に対する嫌がらせかと思い、無視していたのですが、
中傷の手紙は村のほとんどの人に送りつけられていたことがわかります。

良心のある人々は兄妹と同じように黙殺していたのですが、
手紙の内容を深刻に考える人間もいて、ついに自殺者が出てしまう。
そこで単なる嫌がらせは事件になり、手紙を送った人物探しが始まります。

その手紙にはいくつかの特徴があったわけですが、
もっとも不思議なことは中傷の内容が的外れなものばかりだということ。
指摘されているスキャンダルはどれもありえないことばかり。
だからそれまでも信じる人間はいなかったのですね。

村には当然、本当のスキャンダルの噂もあるのですが、
なぜかそういう人物には手紙は送られていない。

それこそが最大の謎であり、解決のヒントでもあった。

シンデレラストーリーもあります。

テーマ : 推理小説・ミステリー    ジャンル : 本・雑誌
  1. アガサ・クリスティ
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「影の地帯」 松本清張

これも清張作品としては異色な存在かもしれませんね。
サスペンス風味で、ちょっと洋画風な展開もあります。

影の地帯 (新潮文庫)影の地帯 (新潮文庫)
(1972/08)
松本 清張

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そして、なんといっても珍しいのは物質トリックが重視されているところ。
動機は一応社会派なのですが、読みどころはトリックしかないといっていいくらいです。

信州の静かな湖に投げ込まれる謎めいた木箱。
住宅街に突然建てられた石鹸工場。
人も通わない深い山奥の閉ざされた村。

ひたすら不気味な雰囲気と、たたみかけるサスペンスで夏休みに読むには最適。

事件を追うのはフリーのカメラマン田代利介。
彼は飛行機の中での美女との出会い心惹かれるが、
その美女には無愛想で風采の上がらない中年男性が同行していた。

その男性に反感を持った田代だったが、なんと田代の行きつけのバーに、その男性がやってくる。さらには店のマダムと密談をしているところを見かけるが、その後マダムが姿を消してしまう。

男性の行動に不審を抱いた田代だったが、東京や信州の仕事先でもその男性を見かけるにあたって、男の謎めいた行動を追うことにする。

しかし謎の男に関係する人間が次々に行方不明になり、ついに田代にも危険が及ぶ。

元になる事件の大筋は予想がつくのですが、その事件と田代が遭遇した謎がどうつながるのかは、なかなか予測できなかったですね。

信州の山深い湖が印象的ですが、今はこんなに静かじゃないのが残念。

いろいろ不気味な後味です。


  1. 国内作家・ま行
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