kigi's Book Diary

本の感想ブログ

「蒼い描点」松本清張

再読ですが、やっぱり面白かった。
被害者の過去を探るうちに、次々に新しい事実が判明していくという、
私の好きなタイプの推理小説。

探偵役は編集者の若いカップル。
くたびれた刑事は出てこないし、あまりリアリティのない女性心理なども含めて、
清張っぽくない作品かもしれません。

蒼い描点 (新潮文庫)蒼い描点 (新潮文庫)
(1972/05)
松本 清張

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編集者の椎原典子は担当する女流作家の原稿を取るために箱根へ向う。
そこで偶然、暴露記事専門のフリー記者・田倉に出会う。
田倉が箱根にやってきたのは、どうやら典子が担当する女流作家のスキャンダルに
関係があるらしい。
警戒する典子だったが、翌日、その田倉が崖から墜落して死んでしまう。
そして、その死は田倉の妻という女性の証言で自殺と判定された。

しかし、前日の田倉の行動から、その死に不審を感じた典子は、
同僚の崎野竜夫と共に田倉の過去の謎を追う。

まずは担当する女性作家から話を聞こうとするが、彼女は突然東京へ戻っていて
会えない。しかも彼女の夫が失踪したという。
仕方なくお手伝いの女性に詳しい話を聞こうとするが、その女性も姿を消す。
やがて当の女流作家も失踪し、さらには田倉の妻も行方不明に。
事件の関係者、容疑者が次々と行方をくらまし、ついに誰もいなくなってしまう。


そうなんです。もう1つの趣向は「誰もいなくなった」!

小説の中でも語られています。
「外国の推理小説の題名にあったわね。"そして誰もいなくなった"って」

クローズドサークルではなく、日本全国版の「誰もいなくなった」
それを成り立たせているのが、素人探偵者という設定なんですね。
警察なら全国捜索が出来ますからね。

清張独特の重厚さはあまり感じられませんが、面白い作品です。

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テーマ : 推理小説・ミステリー    ジャンル : 本・雑誌
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「パディントン発4時50分」 アガサ・クリスティ

最初に読んだのは高校生の頃。
当時ダイアグラムミステリーにハマっていて、これもタイトルから時刻表トリックだと
思い込んで読んだら、お屋敷ものだったので、がっかりした記憶があります(^^;)
今、再読してみると、それなりに鉄道っぽい要素もあるし、面白い作品でした。



ミス・マープルの友人マギリカディ夫人は、ロンドン発の汽車の窓から、
並走する汽車の中で行われた殺人を目撃する。
驚いた夫人は車掌や駅長に通報したが、汽車の中はもちろん、
沿線からも死体は発見されず、事件にはならなかった。

だがミス・マープルだけは事件の発生を信じた。
それはマギリカディ夫人が空想などするはずのない性格ということ知っていたから。

警察の捜査でも死体が発見されないとなれば、独自に死体を捜さねばならない。
ミス・マープルは、パディントン発4時50分の汽車と併走する可能性のある汽車を
探し出し、自らその汽車に乗って殺人を目撃する可能性を探し、1つの結論に至る。

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この導入部の意外性と、ミス・マープルの推理が見事。
2時間ドラマ風にいえば「疾走する汽車から死体が消えた」「死体なき殺人」。
でも実は「家政婦は見た」(笑)
その後の展開は意外な方向へ進みます。

ここでミス・マープルの出番かと思ったら、
潜入するのは、ミス・マープルが雇った家政婦ルーシー・アイルズバロウ。
彼女がまた特別有能な家政婦で、お屋敷での死体探しとなります。

しかもこの家政婦さん、有能な上に若くて美人。
素晴らしい料理に男どもが次々に陥落していくところも面白いです(笑)
こんなに有能な家政婦さんがいたらいいと思うけど、高給なのよね。

犯人探しである前に被害者探しでもあるわけで、
被害者が特定できないのだから、犯人探しが難航するのは仕方ない。
それは読む方も同じ。
あれこれ推理したけど、最後まで翻弄されました(^^;)

そういえば、この小説の中では甥レイモンドの次男が成人してるらしい。
つい先日「火曜クラブ」を読んだばかりなので、なんか不思議な感じです。

続きはちょっとだけネタバレ
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「殺人は容易だ」アガサ・クリスティ

・・・だれにも疑われなければ。
不注意な事故死と思われていたものが連続殺人であったら、
それを解明するのは難しい。

ノンシリーズ。
小さな村で起こる連続殺人を、引退した警察官が独自に捜査。



引退した元警官ルーク・フィッツウィリアムはロンドンへ向う列車の中で、
同席した老婦人から彼女の住む村で起こっているという連続殺人事件の話を聞く。
1つ1つは事故として処理されているが、彼女だけは犯人の意図に気がついており、
ロンドン警視庁へその殺人事件の告発に向かう途中だと言う。

孤独な老婦人の空想話だと思っていたルークだったが、
翌日の新聞でその老婦人が交通事故で亡くなったという記事を読む。
さらに彼女が次の被害者になると名を上げていた医師の死亡広告を見る。
老婦人の話に信憑性を感じたルークは、その村に調査に赴く。

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素人探偵ものなので、調査の点で行き届かないところがあって、もどかしいです。
その上、ルークの視点、思考だけで話が進むので見落としが多く、そこも苛立たしい。
さらには「本当に警察官だったのか?」と疑問を呈したくなるほど先入観にとらわやすい人で、何でも信じてしまうところが不満。

まあ、そんな難点はいくつかありますが、
殺人が行われていることさえ気付かない連続殺人という事件は面白かったです。
証拠を集めるような捜査は出来ないので、心理ミステリーですね。

犯人は登場イメージでけっこうわかってしまうかも。

以下はネタバレ感想です。

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「ポケットにライ麦を」アガサ・クリスティ

ミス・マープルの代表作の1つといわれている作品で、
マザーグースの童謡に模した連続殺人事件。



事件が起こったのは、投資信託会社社長のお屋敷。

最初に殺されたのは屋敷の当主である社長。レックス・フォテスキュー。
食事に毒を仕込まれたらしい。
その社長の上着のポケットにライ麦が入っていたことがタイトルの由来。

容疑者は社長の一族と、屋敷に住む人々。

性格が間逆で仲の悪い長男と次男。
その嫁たち。こちらも対照的な二人で一方は地味な女、一方は貴族出身。
慈善事業に夢中で父親に批判的な娘。
その娘の恋人は誰が見ても財産目当てで、レックスに結婚を反対されている。

そして、これもお決まりの息子たちよりはるかに若い後妻。
その男友達。

有能だが、含みのある言動の家政婦。
何かに怯えるメイド。
素行のよくない執事。その妻の料理人。

もう役者が揃っているというより、揃いすぎというくらいです。
捜査を担当するニール警部の感想のように
「舞台装置は定石どおり」で「犯罪シーンとして完璧」。

童謡連続殺人といっても、そんなにおどろおどろしい話ではありません。
そこがマープルもののいいところでもあるけど。
あっさりして読みやすい作品です。

裏表紙のあらすじに「ミス・マープルが仕込んだ若いメイド」と書いてあったので、
スパイとして入り込ませていたのかと思ってしまいました

でも、洗濯物を取り込むのにわざわざコートを着て庭に出るお屋敷生活ってすごいですね。

以下はネタバレです。

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