kigi's Book Diary

本の感想ブログ

「跡形なく沈む」 D・M・ディヴァイン

ディヴァインが生前最後に発表した作品だそうですが、何となく納得。
トリックより人間の内面の不可解さをテーマにした作品です。

グラスゴー郊外の小さな町。
選挙を控えて様々な思惑がうごめく街に一人の娘ルースが移り住む。
彼女の目的は自分を捨てた父親への復讐。
そのために選んだ手段は、過去の選挙の不正行為の告発。
そして起こった連続殺人はルースの復讐と関係があるのか?

女性がみんな野心家で行動的。
男性は女性の機嫌うかがいつつ敬遠している。
そういうところはイギリスのミステリーという感じです。

イギリスの本格物というと、イメージで80~100年前思ってしまうけど、
1978年発表ということで、まだ35年前。

それにしてはトリックが古いというか、
アクロイドとあまり変わらないような気がしてしまいました。
もうあの機能はあまり使わなくなったからかもしれませんが。

跡形なく沈む (創元推理文庫)跡形なく沈む (創元推理文庫)
(2013/02/27)
D・M・ディヴァイン

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「三本の緑の小壜」 D・M・ディヴァイン

ディヴァインの新訳です。
1972年刊行。
発表順では13作中の11作目ということで、ちょっと趣向が変わっています。

でもディヴァインの作風って、どんなものなんでしょうね。
作品ごとに様式も雰囲気も手法も変わるから、
これがディヴァインというものはないような気がしますが…
特徴というなら、明確な探偵役がいないというところかな(笑)

三本の緑の小壜 (創元推理文庫)三本の緑の小壜 (創元推理文庫)
(2011/10/28)
D・M・ディヴァイン

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英国北部の小さな町で同級生の少女が次々に殺害される事件が起こる。
一人の容疑者が浮かぶが、その人物も謎の死を遂げ、
そしてまた次の少女が犠牲になった。

13歳の少女が連続して殺される事件というと変質的な犯罪を考えるけど、
そういうサイコ系とはちょっと違います。

なんとなくゴシックドラマ風な雰囲気。
ヒロイン(と言っていいのか)のマンディのキャラクターが、
そう感じさせるのかもしれませんが。

小説の構成は複雑で、登場人物3人の視点で描かれる章が交互に並べられて
その間に被害者のモノローグが挟み込まれています。

その3人の視点と被害者の行動の矛盾を見つけることが推理の元になるけど、
推理自体は、それほど難しいことではないかもしれません。
容疑者はかなり絞られているので、勘でもわかる(^^;)

でも、あいかわらず誰が探偵役なのかわからないんですよね。
一応警察も捜査するけど、やっぱり役に立たない。
だから、みんなが探偵状態で筋道だてた捜査ではなくて私論ばかりの混乱になってます(^^;)

でもそれはまた、読者の目をある人物から逸らせるという意味もあるんでしょうけど。
純粋な推理小説というより人間ドラマとしても読める作品です。

ディヴァイン52歳の作品ですが、ちょうど同年代の娘がいたらしい。
だから13歳の少女の心理を活き活きと描いているのだろうけど、
作家の父を持つと、ここまで深く観察されてしまうから大変だ。

ところで、タイトルの「三本の緑の小瓶」はどういう意味かと思ったら
イギリスには「ten green bottles」という数え歌があるらしいので、
そこから引用されているみたいですね。
数え歌・・・、とても深い意味がありそうです。

Ten green bottles hanging on the wall
and if one green bottole
should accidentally fall
There will be nine green bottles


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「ロイストン事件」 D.M.ディヴァイン

ディヴァインはハズレがないですね。
これも面白かった。

ストーリーは途中で迷走してるように思えるのですが、
それも大きなトリックで、読み終わってみれば、すっかり騙されていたことに気付きます。

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弁護士であったマーク・ロヴェルは、ある事件の裁判が原因で孤立し、
職を失い、家族とは疎遠になり、婚約も破棄される。
それでも自分が正しいことをしたと確信するマークは、すべてを捨てて町を出た。

しかし4年後、突然父親からの手紙で呼び戻される。
そこには「重大事が起こり助けが要る」とだけ書かれていた。

不審に思いつつも帰宅したマークだったが、父親はすでに出かけた後だった。
心当たりを探し回るマーク。
しかし彼が見つけたのはナイフを突き立てられた父の遺体だった。
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あとがきにもあるように、事件そのものは単純な事件なので、
犯行の可能不可能を理詰めで追っていけば犯人にたどり着くことは出来ます。
ただ小説全体に仕掛けられたトリックで真相を見抜くことは難しいかもしれません。

詳しくは以下、ネタバレで。

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「こわされた少年」 D.M.ディヴァイン

1965年発表の作品。

天才的な頭脳を持つ優秀な少年アランはある出来事がきっかけで性格が変わり、
不良仲間と付き合うようになる。

そしてある夜、家を出たまま行方不明になる。
アランを溺愛していた母親は失踪が信じられず、警察に捜査を依頼するが、
アランによく似た少年が町を出るところが目撃されていた。

またアランの身辺を調べるうちに、彼が大金を手にしていたことがわかり、
その大金の出所は悪い仲間たちも知らない、彼だけの秘密であった。

失踪した人間の過去を探る話はミステリーの1つのパターンでもある。
事件が起こってはじめて、ふつうに暮らしていた人物の隠されていた過去、
日常とは別の顔が現れたりする。

それが少年となると、自ら求めた結果ではないところが悲劇的ですね。

こわされた少年 (現代教養文庫―ミステリ・ボックス)

続きはネタバレで

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「5番目のコード」 D.M.ディヴァイン

『ディヴァインを発見したときの喜び、ディヴァインを読んだあとの驚きは、いまもって忘れることが出来ない。
それは少年時代にあった、なにかとっても懐かしいものと久しぶりに再会することができた、とでもいうような新鮮な感動だった。』

これは、この本のあとがきで森英俊さんが書かれている一文ですが、
まったく同感。私も同じようなことを感じました。
まさにヴァンダインやカー、クイーンに出会った時の喜びが復活した感覚。

五番目のコード (現代教養文庫)五番目のコード (現代教養文庫)
(1994/09)
D・M ディヴァイン

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で、この作品ですが、小さな町で起こる連続殺人。
一見、無差別連続殺人に見えて、被害者は狭い範囲から選ばれているので、
全員がどこかでつながっているという関係。
それなので、共通項探しというよりは、犯人探しです。

冒頭は犯人の手記から始まります。
「8人が私の手にかかって死ぬだろう」と不気味な予告。
そして深夜、人けのない場所で女性が襲われる事件が起こる。
その傍には棺を描いたカードが落ちていた。

そのカードは葬儀で棺を運ぶ時に、どの持ち手の持つのかを示すために
葬儀社が参列者に配るもので、コードというのは、その持ち手のことだそうです。
そして一般的に棺には8つの持ち手が付いているということで。

事件を調査するのは、落ちこぼれ新聞記者のジェレミー・ビールド。
彼自身も被害者たちとつながりがあったことから、
重要容疑者として警察にマークされる。
そこで自分の容疑を晴らすために犯人を探すわけだけど、
ディヴァインの主人公は、どうも情けないタイプが多いような気がする(笑)

あとがきに、これだけのレベルの高い作品を生み出しながら、
人気が出なかったのは魅力的なシリーズ探偵がいなかったからではないかと書かれてるけど、この、すねて人生を投げ出すような主人公のキャラクターにも問題がありそう…

でも探偵役以外のキャラクター作りは上手いんですよね。
どの作品でも裏を読もうとすればするほど、全員が犯人に思えてくる。
ミステリー好きの裏をかく(裏の裏の裏くらい?)伏線が見事だと思いますね。

この結末は意外なのか、そうでないのか、読む人によって違うかも。

続きはネタバレしています。反転させて読んでください。

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「兄の殺人者」 D・M・ディヴァイン

1961年発表の作品なんですね。
「クリスティも絶賛」というコピーから、もう少し古い時代の作品かと思って読んでました。
それは小説の中に出てくる、ある物のイメージにも関係するのですが。

これが探偵小説コンクールに応募したデビュー作というのだから、レベルの高さに驚き。
謎解きミステリーとして、かなり完成度が高いと思います。

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霧の深いある夜、サイモンは兄からの緊急な呼び出しでオフィスに向った。
しかしオフィスにたどり着いた時、兄はすでに死体となって横たわっていた。

警察の捜査でオフィスの金庫から何枚かの写真が見つかり、兄が恐喝をしていたことを知らされる。しかし兄の性格を知るサイモンは、兄が恐喝という行為をしていたことが、どうしても信じられない。独自に調査を始めたサイモンは、当日の夜、何人かの関係者がオフィスを訪れていたことを知る。
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古きよき推理小説の雰囲気と現代的なミステリーの要素がうまく調和してます。
ただヒントはフェアなのですが、50年近く前の作品なので、読者が勝手に誤解する可能性がありますね。

続きはネタバレで

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「悪魔はすぐそこに」 D・M・ディヴァイン

面白かった~!
まだこんなにすごい作家が埋もれていたんですね。
1966年の作品ですが、翻訳されたのは2007年。
私には「ウォリス家の殺人」より、こちらの方が好みでした。



事件は、大学内のスキャンダルに関係する連続殺人。
ハードゲート大学のハクストン博士は横領の疑いで大学を逐われそうになっていた。
しかし博士は大学で過去に起こったあるスキャンダル事件の真相に関する証拠を握っていると言い、自分を追い出せば、その証拠が明るみに出ると脅していた。
そんな折、大学の書類を調べていた事務職員が襲われ、さらにハクストンは自宅で
ガス中毒死する。


現在起こっている事件の謎が解明されるごとに、過去の事件の謎が深まる、
8年前に何があったのかという興味と、失われた書簡を探すという宝探しの要素、
謎を解いて扉を開けると、また次の扉が現れるというようなゲーム的面白さがありました。

不満と言えば、捜査や探偵役の推理が偏っていること、
警察は真相からほど遠い仮説を追うばかりで、肝心な証拠が何も見つからないこと、
わかりきった確認を後回しにしていることなんどですね。

続きはネタバレ

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「ウォリス家の殺人」 D・M・ディヴァイン

本格もの。
タイトルから"お屋敷もの"かと思いましたけど、
ある家族の秘められた謎をめぐる殺人事件です。

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作家として成功して社会的名士になっているジョフリー・ウォリス。
彼の元に、長い間音信を絶っていた兄が訪ねてきた。
その兄が現れてからジョフリーの態度が一変。
なにか重大な問題に心を奪われているようだった。
そしてある日、決着をつけると言って兄の家を訪問し、
ジョフリーはそのまま姿を消した。大量の血痕を残して。
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緊迫の法的劇、嵐の夜の殺人、夜道のカーチェイスと、趣向も盛りだくさん。

ただトリックは驚くほど単純だし、犯人を見破るヒントもよくあるパターン。
まあ、そこは事件の謎を追うのが名探偵でも名警部でもなく歴史学者ということで
詰めが甘いのはしかたないところかもしれないけど、
警察も捜査してるわけだから、ちょっと裏づけ不足ですよね。

犯人が明かされた時に、肩透かしのように感じてしまうのは、
その捜査の杜撰さに納得できないところがあるからだと思います。

それではこの作品の特徴はなにかというと、それは犯人像の描き方。
これは意外性があります。

あとは全体の構成。
最初の4分の一くらいのところで、ほとんど事件は終わったような展開。
これから先は何が起こるのかと、充分期待させます。
ただ「それでいいのか警察として?」とも思ってしまいますが・・・

全体の感想としては、面白いけどインパクトがない、というところでしょうか。
ヒントはフェアです。

以下はネタバレです。
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