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kigi's Book Diary

本の感想ブログ

「おまえの罪を自白しろ」真保 裕一

衆議院議員・宇田清治郎の孫娘が誘拐された。
犯人の要求は記者会見を開いて、宇田が政治家として犯したすべての罪を自白すること。

しかし宇田は思い当たることが多すぎて、犯人が要求する「罪」が何を指すのか特定できない。
最大の疑惑は公共工事の不正なのだが、それを公表すれば
総理と、その友達を巻き込むことになるので明かせない。

逃げる総理と対立する派閥、次期総理を狙うナンバー2、それぞれの思惑が入り組んで足の引っ張り合いが続く。
宇田は宇田で、孫は救いたいけど自分と息子の政治家生命も守りたいという勝手ぶり。
このあたりの政治家と派閥の駆け引きが面白いというか、あきれるというかひたすら情けない。

ただ、いくらレベルの低い政治家がいるとしても、
さすがに幼児を巻き込む犯罪はやらないと思うので、
その点の捜査に難点がありましたね。
それに、冒頭のネットを駆使した犯人像と、実際の犯人が合わない気がする…




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テーマ : 推理小説・ミステリー    ジャンル : 本・雑誌
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「真犯人」翔田寛

はじめて読む作家さんだけど面白かったです。

事件の発端は東名高速道路の裾野バス停付近で発見された男性の遺体。
その被害者が過去の誘拐事件で殺された5歳の男児の父親だったことがわかり、
さらに裾野バス停が40年前の誘拐事件で身代金受け渡しに指定された場所だったことから、誘拐事件の再捜査が始まった。

実はこの誘拐事件は時効1ヶ月前の昭和63年にも再捜査が行われていて、
その再捜査の過程を平成27年に再検証するという3重の検証になってます。

その再捜査によって、証言に不審な点が見つかったり、
関係者の行動に不自然な点があることがわかったり、
次々に矛盾が見つかるところはなかなか迫力がありました。
ちょうどアリバイ崩しの鬼貫警部の再捜査みたいな感じですね。




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『出雲伝説7/8の殺人』 島田荘司

30年くらい前に読んだ時も面白いとは思いましたけど、
こんな傑作とは思わなかった。
とにかく全編どこにも無駄がないし、
すべてが伏線と言ってもいいくらい緻密な構成になってます。

冒頭、山陰地方のローカル線の終着駅に着いた列車の中から
バラバラに切断された女性の死体が続けて見つかる。
この発端の大掛かりな謎がまず驚きなんですが、
これは意外にあっさりと解決してしまいます。

でも解決したと思った、その解答がまた不可能な謎につながって、
さらに事件を複雑なものにしてしまいます。

そこに出雲伝説が絡んでくるわけですが、
これがまたきちんと真相解明に使われていて、無駄ない。
何重にも重なった謎で最後まで緊張感が続くところが素晴らしいです。



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「何が困るかって」坂本司

いつもの坂本司ものだと思うと、かなりブラック。
殺意、憎悪、嫉妬、そんな負の感情を目いっぱい暗く描いた作品集。

「勝負」
多摩に住んでいたころは駅までバスで通っていたので
この勝負はリアルにわかりますね(笑)

「カフェの風景」
騒がしい子供連れにキレるおばさんグループ。
それを見て腹を立てる若者、
それをネットにアップするオタク、それをあざ笑う女子高生。
みんなが誰かに怒っている世界。それは人間だけじゃなくて…

「ライブ感」
「ネットっていいよね。ライブ感がすごい。」
みんなで同じ店に行ってみんなで同じ物食べて
同じ写真をアップする。
話題になっているその場にいるライブ感はわからないこともないけど、
それが優越感になって暴走すると大変なことに!
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「聖域」 篠田節子

新興宗教を扱った作品ということで、なんとなく敬遠してたんだけど、
宗教というより日本人の死生観を使った作品ですね。


文芸誌の編集者である実藤は退職した同僚が残した荷物を整理するうちに、
その中から未完の原稿を見つける。
確認のため原稿に目を通した実藤は、その重厚な内容に魅入られてしまう。
編集者としての熱意をかき立てられた実藤は、作者を見つけて小説を完成させ、
出版することを考える。
しかし作者の行方は不明で、関係者も関わりにならないことを忠告する。


「聖域」というのは、この未完の小説のタイトルなのだけど、
これが私の苦手なタイプの小説でして、そこでまず挫折しそうになりました(^^;)
「聖域」の主人公である仏教僧の理想とする理念に共感できないんですよね。
むしろ対立するで東北の人々の現実的で厳しい概念の方がわかりやすい。
実藤や三木、篠原のウエットな感情に違和感を感じてしまいました。

神や仏は、あなたの心の中にいる、
あるいは、亡くなった人はあなたの心の中で生きている、
よく言われる言葉ですが、その言葉をどう捉えるか、
それをテーマにした作品なのかな・・・

この結末を虚無と取るか理性と取るか・・・
私には救いに読み取れましたが。

本題とは関係ない話なんですが、この小説の感想を検索したら、
ブログではなくてホームページが多くヒットしました。
文庫化されてからも11年経つ作品なのでそういう結果になったんでしょうが、
簡単に書けるブログと違ってホームページの書評は読み応えがありますね。

続きはネタバレでもないけどテーマに関係することなので隠します。
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「逃避行」 篠田節子

50歳の主婦・妙子が家族を捨てて愛犬ポポと逃げる話。

なぜ逃げなくてはならないかというと、犬が隣家の子供を噛み殺してしまったから。
隣家の不登校児が妙子の家の庭に勝手に入り込んで放されていた犬を虐待。
パニックになった犬がその子を咬み殺してしまう。

刑事責任は免れたが、夫と娘は世間体を考えて殺処分に同意。
納得できない妙子は犬を連れて家を出る。

何度も繰り返される言葉「人は裏切るけど犬は裏切らない」
もうこれがテーマでしょう。
それにしても、この夫と娘はひどい。

ただ妙子も家族に依存しすぎていたところはあるんですよね。
自分の体も人生も自分で責任持たないとね。


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「絹の変容」 篠田節子

絹の変容というよりは「蚕」の変容なので、
ちょっと気持ち悪い描写がありますが面白かったです。



八王子の繊維メーカーの2代目社長である長谷康貴は土蔵の内部から虹色に輝く絹布を発見する。この虹色の絹織物を自社復興の切り札にしようともくろむ康貴は、天才的技術者と組んで密かに研究を始める。
しかし康貴にはひとつ不安があった。それは、これほど美しい絹織物が、なぜ土蔵の奥にひっそりと隠すように保存されていたかということ。この絹には、なにか問題があるのだろうか?
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あらすじから想像する通りにストーリーは進みます。
つまり、変異した蚕が街にパニックが起こしていくわけですが、
被害が出てからラストまでが短いことが、なにかもったいない気がしました。
あっさり終わってしまうんですよね。
被害者が出るのも早すぎるのではないかと。
自然の変化や被害と絹織物の関係がなかなか結びつかず、
その間に被害はさらに深刻になっていく・・・というような
崩壊のプロセスをゆっくり楽しみたかったですね

余談ですが「康貴」って変換できる名前なんですね。

続きはネタバレ
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「追伸」 真保裕一

往復書簡だけでつづる、ある夫婦の離婚。
読んでる途中で苦手なパターンだと気づいたけど、
とりあえず最後まで読んでみました。



夫はギリシャへ単身赴任中。
妻は渡航直前に事故に遭って日本に残っている。

そこから手紙のやり取りが始まるわけだけど、
この手紙がやたら長い。
さらに手紙なのに相手も知ってる事情が説明的に書いてある。
これは手紙というより手記で、手紙にする意味がわからない。

こんな分厚い手紙貰ったら誰でも離婚したくなるよ~
というのは冗談にしても、「長々説明を書くより話し合えばいいのに」
と思ってしまうのは今の時代なら当然の感想でしょう。

手紙のやり取りが進むうちに妻が離婚を言い出した理由は、
祖母の事件に関わりがあるということがわかってくる。
妻の祖母は何かの理由で警察に捕まったことがあるらしい。
そこから祖母の事件とは何かという真相になる。

キャッチコピー的に言えば、
「戦中戦後から現代へと続く女の3代の妄執」ということかな。
そのまま午後1時半からのドラマになりますね。

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