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kigi's Book Diary

本の感想ブログ

「天上の葦」 上下 太田愛

渋谷のスクランブル交差点で高齢の男性が天を指さしながら倒れて亡くなる。
興信所の鑓水は調査依頼を受けて、亡くなった男性・正光秀雄が
戦争中に大本営海軍報道部に所属していたことを突き止める.

一方、相馬は失踪した公安警察官・山波孝也の行方を極秘に捜索するように依頼される。

小説としては当然、正光秀雄と山波孝也には接点があることが判明して、
鑓水、修司、相馬は共同して調査を開始するわけです。

上巻は正光と山波の接点を探すこと、と二人が絡んだ謎についての調査、
下巻は瀬戸内海の小さな島での捜索が主になります。
この下巻の孤島の謎解きは懐かしい本格ミステリーのようで楽しかった。

この3人は本当に魅力的なキャラクターなので、
ずっとこの世界に浸っていたいと思ってしまいました。
次作は出ないのかしら…

太田愛さん報道機関に対する政府の監視が厳しくなっているという指摘は
今回のコロナ報道では特に感じますね。
世の中で現実に起こっていることとテレビが伝えていることが違うんじゃないかと、
なんとなく感じている方も多いと思う。



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「犯罪者」 太田愛

「幻夏」が面白かったので、すぐに読み始めた作者の小説デビュー作。
「幻夏」のメイン登場人物3人の出会いが描かれているので、
本当はこちらを先に読んだ方がいいのかもしれないけど、
私としてはこの順番で読んでよかったと思いました。

というのも「幻夏」は事件やキャラクターがぎゅ~と圧縮されて描かれているから、
密度の濃い内容になっているけど、
「犯罪者」はちょっと間延びしている印象があったので
こちらを先に読んでいたら飽きたかもしれません。

冒頭は真昼の駅前で起こった通り魔事件から始まります。
犯人はすぐに捕まって単純な通り魔か思われたのですが、
実は巧妙に仕組まれた不正隠しの事件だった。

アウトロー3人組vs大企業+政治家+プロの殺し屋の対決なんだけど、
現代の日本でこんなに簡単に人を殺して大丈夫なのかな?
ちょっと現実感がなくなるような感じです。

でも最後は伏線も回収されて見事に終わります。
いくつかのエピソードを整理すれば、もっとテンポがよくなって読みやすくなると思ったのですが、その結果が『幻夏』なのかもしれません。



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「幻夏」 太田愛

これは面白かった。
濃密でスピーディな展開。
先が読めたかと思うと、90度転回して予想もしなかった方向へ進む。
その繰り返しでだんだん予想がつかなくなってきて
いい意味で裏切りの連続。引き込まれました。



23年前、当時小学6年生の少年が登校途中に失踪。
それから23年後、少年の母親が興信所に捜索を依頼した時、
今度は12歳の少女が行方不明になる。

事件を解決するのは
冷遇されている刑事、元テレビ屋の興信所所長、その助手の3人組。
実はこの3人、作者の小説デビュー作『犯罪者』で出会ったメンバーなんですね。
だから3人の関係を知るには『犯罪者』から読んだ方がいいんでしょうけど、
『犯罪者』は上下巻だったから、まずはこちらを読んでみました。

私にはそれがよかったかもしれません。
『犯罪者』は話が広がりすぎてあちこちへ飛ぶし、
登場人物の説明が長いので中だるみしてしまいました。
でも『犯罪者』も充分面白い本ですよ。

太田愛さんは「トリック」や「相棒」の脚本も書いてる方。
wikiはこちら→太田愛
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「i―鏡に消えた殺人者・警視庁捜査一課・貴島柊志シリーズ」今邑彩

今邑彩さんのベストセクションでも、あまり取り上げられていない作品ですが、
これは傑作。

殺されたのは新人女性ミステリ作家。
鍵のかかった自宅マンションで遺体で発見されたのだが、
犯人の足跡は鏡の前で突然消えていた。
「鏡の中に消えた殺人者」
実はこれは彼女の新作の事件と同じ謎。

怪奇と本格の融合ということで、どういう解決になるのかと思ったら、
謎がきっちり説明されていて納得できました。
鏡の中に消える足跡は特に。
まあ多少都合のいいところはあったけど。

2つのトリックは前例もたくさんあるので目新しいものではないけれど、
アレンジというか伏線が巧みなので気が付きませんでしたね。

警察シリーズものだけど、本格ミステリーでした。
貴島柊志シリーズは他の作品も読んでみたいですね。



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「営繕かるかや怪異譚」 小野不由美

著者の故郷の中津をイメージしたという城下町。
その町の古い家に起こる怪異を"営繕かるかや"が解決する短編集。
「奥庭より」「屋根裏に」「雨の鈴」「異形のひと」「潮満ちの井戸」「檻の外」の5編。

怪異といっても、恐ろしい話というより哀しいお話でした。
古い家には昔の住人の様々な念が残ってますからね。

4話目に出て来る少女の母親の言葉が象徴的です。
「こんな古い家に住んだことないから暗がりや隙間が不安なんだと思います」

私が生まれた頃の実家は戦前に建てた古い家屋で
あちこちに謎めいた空間と闇がありました。
廊下の突き当たりの開かずの納戸、2階の座敷の古い箪笥、
気が付くと開いている戸や、天井裏の足音。
なんとなく子供のころに馴染んだような話なので、なにか懐かしい気がしました。

営繕かるかやさんが行うのは、霊を打ち払うというより鎮まっていただく方法。
家を建てる時や怪異に出会ってしまった時に役立つ本だと思いました(^_^;)

でも表紙の謎解きはちょっと怖いですが・・・



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「砂の城」鮎川哲也

私の国内鉄道ミステリーベスト3は
『点と線』松本清張
『砂の城』鮎川哲也
『出雲伝説7/8の殺人』島田荘司

その『砂の城』を再読。
というか、30年ぶりくらいの再々読ですね
発表は1963年4月。
新幹線開業1年前なので、鉄道状況は現在とはかなり変わってしまっています。
それでも盲点を突く見事なトリックは本文中の時刻表だけでも充分推理の楽しみが味わえます。

この作品、鮎川氏のアリバイものとしては実はあまり評価は高くはないんですが、
終盤の衝撃が印象に残っていて、私の中では特別な1冊になっています。
なんたって序盤ですべての謎が明らかにされているんですから驚きですよ。

実は去年の夏に行った丹後の旅は「砂の城」の駅めぐりでもありました(^o^)
京都、天橋立、豊岡、福知山、大阪環状線、すべてこの作品に登場します。

最初に読んだころは地理の知識がなかったから、
京都から天橋立に行くのに保津峡あたりを通るのが不思議でしたけど、
実際に行ってみると位置関係がよくわかりました。



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「リカ」「リターン」(五十嵐貴久)

■「リカ」
出会い系サイトで知り合った女性につきまとわれる話。



本間隆雄、42歳。
妻と小学生の娘と暮らす印刷会社のサラリーマン。
生活に不満はないが安定した生活に退屈して
出会い系サイトに登録。

そこで出会ったのが看護師をしているというリカ。
控えめで世慣れていない感じのリカに魅かれて、
本間は実際に会うために自分の携帯番号を教える。

そこからリカの態度が変わっていく。
昼夜を問わず電話がかかってくる。
出なければ30分おきに伝言が残され、
出れば「私の電話になぜ出ない」と怒り狂う。

いきなりストーカー化したリカに嫌気がさして、
本間は連絡を絶とうとするが、
リカは携帯番号から本間の家を突き止め、そして・・・

ネットストーカーのサイコサスペンスかと思ったら、
途中からは完全にモンスターホラーになってました。
ストーカータイプの人間とは、正常な会話が成り立たないところが怖いんだけど、
リカはその上、いろいろな能力まであるから恐怖なんですよ。
まず医学知識がある。超人的身体能力がある。
もうターミネーターがストーカーになったようなもので、これは怖い(((;゚д゚;)))

幼児でもないのに一人称が自分の名前という女性はリスキーなんですよ。

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■「リターン」

「リカ」から10年後。
本間隆雄の死体が見つかるところからはじまり、
また新たな事件に発展していきます。

「リカ」のラストから想像して、もっとバイオレンスな内容かと思ったら、
意外にも地道な捜査中心の刑事ものでした。
ただやっぱり残酷シーン、気持ちが悪い描写はありますが。

恐ろしいのは最後の方の尚美のセリフ。
「どうしてもっと早くわたしを見つけてくれなかったの」
これはゾクっとしたんですが、もしかしてリカ?・・・

「ただしさん」
も怖いですよね。
リカなの~??

「自分にとって都合の悪いことは事実であっても認めない。
自分にとって都合がいいように現実をねじ曲げる。
そして嘘で固められた歪んだ事実だけについて語る。」
リカの性格描写だけど、とってもリアイル。
作者はこういう人物に悩まされたことがあるのでしょうか?
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「残穢」 小野不由美

怖いです。これはマジで怖い本。
ひとり暮らしやセンシティブな人は本当に読まない方がいいと思う。

久保さんは、その部屋に何かがいるような気がする、と言う。

賃貸マンションに引っ越してきたばかりの女性ライター"久保さん"は、
深夜、仕事中に自分以外のものの気配を感じる。
相談を受けた作家である「私」と久保さんは前の住人や土地の調査を始める。



おどろおどろしいホラー描写はほとんどなくて、
怪奇現象の原因を調査するドキュメンタリー風になっているところが
リアルで怖いんですよね。

私も怖かったけど、
我が家はけっこう怪しいことがある家なので、まあ慣れてます・・・
100年以上住んでいるようなお宅なら、けっこうあることだと思うので。

というか、数十年前までの日本、私が子供のころの日本は、
まだこういうことが日常にある世界だったと思いますね。

例えば、家族が1階にいるのに2階で引き戸を開け閉めする音が聞こえたり、
2階にいると下の廊下を歩く音が聞こえる。
仏壇の仏具の位置が変わってる、などなど。

そんな時、祖母は「(亡くなった)おじいちゃんが帰ってきてる」なんて言ってましたっけ・・・
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