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kigi's Book Diary

本の感想ブログ

「種の起源」チョン・ユジョン

ハヤカワ・ポケット・ミステリー初の韓国ミステリー。
でもミステリーというよりサスペンスホラーでした。

ロースクールの合格発表の朝、
自分の部屋で目を覚ましたハン・ユジンは
ベッドも体も全身血だらけであることに気がつく。
不審に思いながら階下に降りると、そこでは母親が切り殺されていた。
しかしユジンには昨夜の記憶がまったくない。

母を殺したのは自分なのか?
自宅で何か事件が起こったのか?

基本的にはユジンが記憶を取り戻していくストーリーで、
同時にユジン自身の秘密も明らかになっていくという流れ。

義理の兄の話、母親の日記、医師である叔母からの電話など、
細切れのエピソードから真相が明らかになっていくわけですが、
ほとんど意外性はなかったですね。

途中、もしかしたら何か仕掛けがあるのかと思うような記述もありますが、
そこから特に発展することもなく終わりました。

サイコパスを描いた小説や映画はたくさんあるけど、
内面から描いたものはあまり読んだことはなかったので、
リアルな内面の描き方から、うっかり同調しそうになるのが恐ろしいかも(^_^;)

サイコパスというと、マーサ・スタウトの『良心をもたない人々』を思い出したけど、
こういうタイプの人は、この世の中で生きているのは自分だけで、
自分以外は勝手に動く人形みたいなものだと認識しているらしいです。
だからなにをしても罪悪感がないとか。

歴史に名を残した人物はサイコパスが多いと読んだことがありますが、
昔の話とはいっても、邪魔な人間は殺してしまうような人物はふつうじゃないでしょう。

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「償いの雪が降る」アレン・エスケンス

これもまた過去の犯罪を再調査するパターンのミステリー。
今回、再調査をするのは大学生のジョー。

苦学して大学に通うジョーは授業の課題で年長者の伝記を書くことになり、介護施設で末期がん患者のカールを紹介される。
カールは14歳の少女に対する暴行殺人で有罪になった男だったが、余命いくばくもないことから仮出所して施設で暮らしていた。
ジョーはカール本人や友人から話を聞き裁判記録を読み直しているうちに事件が冤罪ではないかと思い始める。

カールが無罪を強く主張しなかった理由。
ジョーが家を出た理由。
ジョーが祖父の話を避ける理由。
ジョーのガールフレンドのライラが過去の話をしない理由。

「The Life We Bury」
生きていく中で人それぞれが抱えているものの重さが身に沁みます…






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「数字を一つ思い浮かべろ」 ジョン・ヴァードン

パズルミステリーとして読むと謎解きが中途半端なんですが、
主人公の元刑事ガーニーの再生物語として読むとけっこう感動的でした。

帯には「警察小説と本格ミステリーの融合」と書かれてますが、
融合というより、連結?
最初は島田荘司だったけど、終わってみたら横山秀夫だったという感じかな(^_^;)

事件の始まりはタイトルのまま。
被害者メレリーの受け取った手紙には「1000までの数字を1つ思い浮かべろ」と書いてあり、同封されていた封筒には、まさにメレリーが思い浮かべた数字が書き込まれていた。

その他も、雪の中で突然消える足跡など、不可解な謎が多く提示されるので、本格パズルミステリーかと思うと、その辺はけっこうあっさり解決してしまいます。

そして事件も違う方向へ進展して、
むしろ元刑事ガーニーの家庭のトラブルが重要になってきます。

数字を当てるトリックは不正請求詐欺みたいなものですね。




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「カササギ殺人事件」アンソニー・ホロヴィッツ

昨年の「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」
「本格ミステリ・ベスト10」「このミステリーがすごい!2019年版」
それぞれ海外部門1位。
初の4冠を達成した作品。

たしかに上下巻になっている仕掛けは意外性があって驚きますが、
それが効果的に活かされているかどうかと考えると、そうでもない
上下の事件が、そこまで深く関連しているようには思えなかったし、
謎解きも、まあふつうでした。

下巻の冒頭、作品中の「カササギ殺人事件」を読んだスーザンが
登場人物や伏線を書き出しながら推理するところは面白かったので、
あのまま続けてほしかった。

アランの手紙、さらっと読み飛ばしてしまったけど、
解決を知ってから読むときちんと書き分けられていました。
でも「滑降」の抜粋、ドナルド・リーの作品との比較は長かった

P314の「世界の憎しみを一身に集めることになるんだぞ」は納得できない!
その結果についてはラストに答えが書かれていますが、
出版社、編集者が世間や読者の評価を読み切れないことを証明してますね。

私としては全体に「詰め込みすぎ」という印象でした。



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「幽霊の2/3」ヘレン・マクロイ

ヘレン・マクロイを読むのは4作めなんですが
やっと特徴がわかったような気がしました。
奇抜なトリックや細かいミスリーディングではなく、
プロットに凝るタイプなんですね。

人気作家がパーティの最中に毒殺される事件なんですが、
衆人環視の中で「毒を入れる機会があったのは誰か?」という検証をするのではなくて、
なぜ事件が起こったかというところに焦点が絞られていくストーリー。

面白いのは、この作品の中で編集者に繰り返し強調させていることが、
「売れる小説にプロットは要らない」という点。
この作品は出版業界のパロディ本でもあるんですが、
"売れる本"と"すぐれた作品"は違うということ。
難しい問題ですね。



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「そしてミランダを殺す」 ピーター・スワンソン

その場限りの会話。
はじめて会う人で、2度と会うこともないだろう人に、
つい本音を話してしまうことってありますよね。
まして酔っていればなおさら。

実業家のテッドはヒースロー空港のバーで、リリーという女性に声をかけられる。
搭乗待ちの時間つぶしの会話の中で、テッドは自分が抱えている悩みを話す。
それは浮気した妻のミランダを殺したいほど憎んでいること。

2度と会うことはない相手との雑談のつもりだったが
リリーはテッドの代わりに自分がミランダを殺すと提案。
再会の約束をして別れる。
誰かを殺したいと思っても実際に殺人まで行くことはまずない。
でもテッドは不思議な魅力を持つリリーに惹かれて約束の場所へ向かってしまう。

メインの登場人物はテッドと妻のミランダ、
ミランダの浮気相手のブラッド、そしてリリー。
4人が4人とも何かを企んでいるようで、さらに誰と誰が組んでいるのかわからない。
ミランダを殺すのは誰か? ミランダは殺されてしまうのか?

ただ、原題は「The Kind Worth Killing」で、実はミランダはあまり関係ない。
物語の半分はリリーの話で、
リリーは罪を犯した人間は殺されて当然だという考えを持って、
それを実行してしまう。

リリーがそんな恐ろしい考え方をするようになってしまったことには理由があって、
それはとても悲しいことなんだけど、そのために犯罪を犯しているという自覚がない。
もう少し計画性があれば…、なんて言ってはいけないんですけどね。



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「雪と毒杯」 エリス・ピーターズ

修道士カドフェルシリーズでおなじみのエリス・ピーターズのノンシリーズ。

一応、雪の山荘もの(の変形)ですが、
ガチガチの謎解きではありません。



事件の詳細、アリバイ、時系列の検証などは
きっちり書かれているので本格として問題はないのですが、
それ以外のシーンもけっこう多いです。
それがまたミスリードでもないので、途中が間延びしてる気がしますね。
どこかに「コージーっぽい」という感想があったけど、
私も同感。

裏の裏をかく基本の仕掛けは
最初は作者の設定ミスかと思ったんですけど、
ちゃんと理由があったんですね。
そういう意味では意外なトリックです。
星なら「★★★★」くらいでしょうか。

ただヒロインのスーザンのキャラクターには納得できないものがありました(^_^;)

・あらすじ
ウィーンからチューリヒへ向かっていた小型チャーター機が
スイス国境付近の山の中に不時着。
乗客7人とパイロットは積雪のために町へ降りることが出来ず、
山の上の小さなホテルに避難する。

チャーター機に乗っていたのは有名なプリマドンナ、
アントニア・バーンの関係者たち。
アントニアの最期を看取った後、ロンドンへ帰る途中で遭難した。

アントニアは多額の遺産を残して亡くなったため、
相続をめぐって関係者の間で争いが起こる。
事態収拾のため、急きょ遺言者が公開されることになったが、
それは驚くべき内容だった。

↓ネタバレ
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彼女たちはみな若くして死んだ

若い女性が被害者となった殺人事件10件のレポート。

タイトルは実話週刊誌のように扇情的ですが
覗き趣味のレポではなくて、事件と捜査の真面目な記録。
ヒラリーウォーがこの本を読んでミステリーの着想を得たということで、
「警察捜査小説」というジャンル誕生のきっかけとなったと言われています。

1949年に刊行された作品なので
取り上げられている事件は100年以上前のものばかりですが、
その後のミステリー小説を連想させる有名な事件が多かった。

最近は残虐な事件が増えたので、あまり驚かなくなってしまったけど、
それでもやはり現実に起こった事件だ思うと痛ましいです。

加害者は、恋人や元恋人、夫・元夫、ストーカー。
一昔前の事件とはいっても若い女性が被害者になる事件の動機は
今でも変わっていないんですね・・・
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