kigi's Book Diary

本の感想ブログ

「ユダの窓」カーター・ディクスン

密室トリックばかりが取りざたされる作品ですが、
内容は意外にも正統派の法廷ミステリー。
そしてさらに意外にもH・M卿が本職で見事な仕事ぶりを見せてます!



事件の概要はプロローグの14ページで説明されることのみ。

・ジェームズ・アンズウェルは恋人の父親ヒュームに電話をして、
結婚の承諾を得るためにヒューム邸を訪ねる約束をする。
アンズウェルは由緒ある家系の出身で資産家。
当然、ヒュームも娘の結婚に反対する理由はなく、快く招待。

・ところが翌日、アンズウェルがヒューム邸を訪ねると父親の態度は一変。
敵対心剥きだしでアンズウェルを糾弾する。
わずか1日の間にどのような状況の変化があったのか?

・なんの心当たりもなく当惑するアンズウェル。
父親に勧められるままにウイスキーを飲み意識を失う。
気が付いたときには部屋のなかで父親が死んでいて密室状態だった。

・アンズウェルは逮捕されて裁判が始まる。

この苦境からアンズウェルを救えるのか?

そこで登場するのが被告を弁護するH・M卿。

こんなに関係者がいたのかと驚くほど、次々に出て来る証人。
彼らの証言から隠されていた事柄が徐々に明らかになる。

それにしてもヒューム氏や関係者は、いろいろ胡散臭いことが多すぎる。
このあたりの緊張感と、それを台無しにするH・M卿の発言が絶妙。

基本的なところで難点もありますが、裁判の過程は面白いです。

以下【】内はネタバレなので反転してください。
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「まるで天使のような」 マーガレット・ミラー

ヒッチハイクの途中で偶然立ち寄った謎めいた宗教施設。
そこの修道女から、一人の男を探すように頼まれたクイン。

男が住んでいたという町に行ってみると、
・探している男は6年前に失踪したこと、
・同じ町で同時期に大きな事件が続けて起こっていたことがわかる。
クインが報告のために修道院に戻ると、
調査を頼んだ修道女は隔離され正気を失っていた。



失踪事件や事故、バラバラだと思っていたことがすべて一つにつながるところは見事。
でも、ちょっと長いかな。

こんな感想を書いていてなんなんですが、
あとがきにもあるように、なんの先入観も持たないで読んだ方が面白いです。
できればカバーや見返しも見ないでね。

ちょっとネタバレ。
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「新車のなかの女」 セバスチアン・ジャプリゾ

ほぼ50年ぶりの新訳?

サスペンス色が強い作品ですが、実に細かく計算されて書かれているので、
謎解きとしても一級品。
読み終わった時、・・・というより途中でびっくり。
「騙された」感が爽快です。



タイピストのダニーはバカンス旅行に出かける社長の車を空港で預かって
自宅へ戻しておくように頼まれる。
それが新車のサンダーバード。
(まあ、この設定からして疑問は感じますよね・・・)

高級外車で高速道路を走っているうちに昂揚感を感じたダニーは、
車を無断拝借して南仏へ向かうことにする。
車は社長が海外から戻るまでに返しておけばわからないだろうという都合のいい考えで。
ちょっと疑似セレブ気分になってしまったわけですね。

ところがここから状況がおかしくなる。
途中で寄った村で、見知らぬ女性から忘れものだというコートを渡される。
今朝早く、同じ車に乗って同じ服を着た女が村の店にコートを忘れたという。
ダニーはもちろん、この村に来るのは初めてなのに。

さらに行く先々で自分を知っている人たちに出会うことになって、
悪夢に巻き込まれていく。

ここからはネタバレで。

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「だれがコマドリを殺したのか」 イーデン・フィルポッツ

「赤毛のレドメイン」で有名なイーデン・フィルポッツの幻の名作が、
新訳で再版されました。



これは前回書いた「見えないグリーン」とは好対照の作品。
「グリーン」の方は謎解きに徹したパズルミステリーだけど、
こちらはミステリー的要素はあるけれど、基本は一人の人間を主人公にした小説。
そして、その人の人生の中に、ある事件があったということ。

それでも登場人物たちの性格や人間関係、人生観など、
すべて伏線になって事件の真相を隠していく、そのミスリードは見事です。

小説の舞台が南仏のせいかフランスの小説のような味わい
なぜヒッチコックが映画化しなかったのかと思うような
華やかで上質なサスペンスです。

ちょっとネタバレ↓
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「見えないグリーン」 ジョン・スラデック

鮎川哲也氏絶賛ということで読んでみたのですが、
これは本当に面白かった。

巻末の解説で、こんなことが書いてあったら読まないわけにはいかないですよね。
「近頃めずらしい純粋の本格謎解き小説であり、待望久しい充実した作品」
「最後まで五里霧中をさまよわされ、読了してから作者の見事なペテンに気付いた時の楽しさ」

1977年の作品で1985年出版、2007年新装版になっていて、
新装版の解説は法月綸太郎氏



事件はいかにもパズルミステリー的です。

ミステリー好きの集まり「素人探偵七人会」。
その会合が35年ぶりに開かれることになった時、
かつてのメンバーがひとりづつ殺されていく。
さらにメンバーひとりひとりに色に関係するメッセージが送りつけられる。

単なる説明だと思って読み飛ばした文章が、最後になって実は重要な伏線だったとわかる。
最初から最後までまったく気が抜けない徹底した謎解き。

ミステリーファンでも、事件のストーリーの流れを追うような読者、
登場人物の内面ドラマを期待する向かないかもしれませんが、
メモを取りながら読むタイプの方には絶対にお勧め。

でもガチガチの理詰め推理でもないんですよ。
全体の印象はユーモラスで、
すべてのシーンで映像が浮かんでくるところは小説としても見事ですね。

以下はネタバレで
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「そして医師も死す」 D.M.ディヴァイン

ディヴァインの長編2作目。
本格物というよりサスペンス劇場ですね。

スコットランドの田舎町の診療所の医師が自宅で事故死する。
しかしその2ヶ月後、医師の死は殺人である証拠が見つかり、
死んだ医師の後妻エリザベスと、診療所の共同経営者だった若手医師アランに嫌疑がかかる。

アランは自分とエリザベスの嫌疑をはらすために調査を始めるけど、
これが完全に逆効果になってアランは町で孤立する。



とにかく、このアランがどうしようもないバカ。
思慮や配慮が全くない人間で、
ちょっと批判的なことを言われると頭にきて売り言葉に買い言葉、
相手を攻撃し、あげくに人の秘密から捜査の秘密までしゃべってしまう。
捜査に協力するどころか邪魔してるだけ。

でも本人は自分は絶対に正しいと思い込んでいる。
本当にイライラするキャラクターなんですよね。
なんでこんな人間が主人公なの??!

さらには、婚約者がいるのにエリザベスと不倫を疑われている。
だけど、もうわざと疑われるようなことをしてるとしか思えない。

アランはエリザベスを自分の寝室や家に泊め、
エリザベスはアランの家で勝手に電話に出たり、
アランの同僚に朝からパジャマ姿を見られたりする。
もうやりたい放題。

エリザベスはアランの婚約者であるジョアンについて、
結婚相手を選りすぐり計算づくで手に入れようとする女と酷評するけど、
それは自分のことでしょうが~

でもバカなアランは、そんなエリザベスの言葉に感化されて
ジョアンのことをアランを利用する勝手な女と思い始める。
でも疑惑の未亡人を泊めたり、そのことが噂になっても自分が悪いとは思わない。
そんなことでは婚約者が離れるのは当然なのにね。

翻訳出版が最後になった理由が納得できる駄作です。

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「鐘楼の蝙蝠」 E・C・R・ロラック

タイトルを見て、歴史暗黒ミステリーを想像したんですけど、
鐘楼とも蝙蝠とも関係のない、現代のミステリーです。
「BATS IN THE BELFRY」は慣用句で「to be crazy」の意味だそうです。



導入部のあやしい事故、サロンの話題、謎の脅迫者、
そして首のない死体。

道具だては怪奇的なのにおどろおどろしいところはまったくなく
会話もストーリーも非常に理詰め。
すべての可能性を検討して不可能な仮説を一つづつ消していく。
まるで数学か科学の証明のような小説でした。

すべての可能性を考慮ということで、登場人物が全員容疑者になるわけですが、
いくらなんでも最後のふたりくらいは外してもいいんじゃないかと思ってしまいました(^_^;)

無駄なエピソードが少ないパズル的謎解きは好きなのですが、
それにしては伏線が少ないかもしれません。

ちょっと続けて読んでみたい作家ですが、
でも本が高い・・・
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「今見てはいけない」 ダフネ・デュ・モーリア

「レベッカ」で有名なデュ・モーリアの恐怖小説短編集。
恐怖といってもホラーではなくて心理的な恐怖。
読んだ感想でいうと、不気味な感覚の小説集ですね。

不安なこと、わからないこと見えないこと、めまいの感覚・・・
1つ1つの作品の仕掛けはどれもミステリーとしてはよくあるものですが、
そこがポイントではなくて、そこに至る過程が不安定。

悪意、底意地の悪さ、嫌み、嫌がらせという負の感情のオンパレード。
わかってはいたけど英国人のセンスはブラックですね。



「今見てはいけない」
映画「赤い影」の原作。
たぶん映画は見てないと思うけど、ベネチアの迷路のような水路が、
不安定感を増してます。
ただ何となく先が読める展開なので、あまり意外性はないかな。

「ボーダーライン」
父親が死の直前、恐怖の顔で娘を見て言う「なんということだ!」
娘は、その言葉の意味を探るために父親の古い友人に会いに出かけた。
そこで見た父の友人は意外な男だった。
う~ん、
父親の友人の魅力がわからないし、主人公の心の動きもわからなかったです。

「真夜中になる前に」
これも見えない恐怖と、あやしい出来事に巻き込まれた話。
「つい」「ちょっと」という好奇心からどんどん深みにはまっていく。
好奇心に引かれてといっても、ふつうあそこまではやらないでしょう。

「十字架の道」
すっごいブラックギャグ。
エルサレムツアーに来た英国人団体と案内の神父の悲惨。
こんなわがまま勝手な人ばかりの団体はいやだわ。
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